2026-03-08

“世にも奇妙な” 大血川 7



大血川(おおちがわ)を

大蛇川(おろちがわ)とする

伝えがある。




集落をつなぐ


川をさかのぼると


水源に至る



そこに大神(大蛇)を祀り


祖神と交わる


交感する者として



豪雨、氾濫、洪水、大雪‥


水ノ神が暴れるを


鎮めるが統治者の役目であった



大血川 洪水時



太古から

水にまつわる神性のシンボルは


しばしば

龍(辰)や、

蛇(巳)に見立てられる



古代中国神話より 伏義と女媧(釣りと楽器の水神)



辰+巳=巽=東南方位であり


妙法ヶ岳より見た大血川も

東南側に位置する



古くは山岳修験者の多くが


大血川に沿って



大陽寺ー(妙法ヶ岳)ー三峯社ー(雲採山)



をめざしたとされる。



妙法ヶ岳ー大血川の位置関係


(また、東南方位は秩父神社と武甲山との位置関係でもある)



秩父神社ー武甲(神体)山


(旧暦)春秋二期を貫く信仰軸には



【土用】


・蛇が土中から再生する(冬眠から醒める)


・死んで土中に入る(冬眠に入る)



つまり


人が、家を抜け出し


【山に登り】、一祭礼に参じ


【山を降り】、家路に着くまで



まるで


自然のサイクルと節目に併せた


人間の通過儀礼を


“脱皮”に準えたかのようでもある‥



大血川谷の蝮蛇 ♀



家という平地


日常世界の平面から



縦軸の垂直方位へと


山を登る行為じたいが



個人の信仰に奥行きを与え


立体的な世界観を得るが為のものだったのかもしれない。




そして、


この閉塞な山塊で暮らすには


自然の律動を回転運動するがごとく


毎年の春夏秋冬をやり抜いたにちがいない







“Je parle avec mon corps, et ceci sans le savoir. Je dis donc toujours plus que je n'en sais. ”

ー常にあなたが知ってる以上のことを、あなたの身体は話す。



ワタシの家の主人は

ワタシでなく


コトバとコトバの隙間に

ワタクシという
遠近世界 perspectiveが


そこ、神の隠れ家‥




2026-03-07

“世にも奇妙な” 大血川 6

 

秩父全体の象徴



山麓の地域社会を制すことが


すなわち “神体山”を制すに均しく


山の祭祀を指揮する者が権力者


であったのだろう



広重画 武蔵秩父山中(『諸国名所百景』より)


その山谷をめぐる信仰形態の構造はこうだ



《 川・谷ー集落ー村落ー山ー鎮守 》




各々、谷に沿って


集落が形成されれば


散在する集落を統一する川がある



これをさかのぼる処に

鎮守(小)を置き



その集合が

やがて村落となるとき


山上に、一鎮守(大)


すなわち 神社を祀る



つまり

山の神= 水(川)神 を意味する



水源



各集落の在り方は

【主流ー支流ー支々流】に沿う。



・主流(荒川)に合す支流

(ex.赤平、横瀬、中津、安谷、大血川)


・支流に合す支々流

(ex.吉田、芦ヶ久保、小森、定峰、薄川、生川)




荒川 約160筋は


盆地の血管となっている




盆地の内側は傾斜がつき


山が重なり合う


山襞が複雑に入り組む




暮らしを根付かせるには


山頂より低く

谷底より高く


日照にすぐれ

雨風をしのぎ


湧水が引ける


おのずとそのような場となる。






大血川集落の祭り



この地の求心性


此処に暮らす人々の

素朴な心や霊性は


見渡す限り聳える山の一点に

すなわち独立峰にあったと言える