狭い谷間に生まれ、育ち、
そこで生涯を閉じるような生き方をすると
(良し悪しあろうが)
多かれ少なかれ、
郷土意識に染まる
むしろ、自分を為す
生活世界の骨格が
郷土に張り付いた自己しかいない
その土着意識は、
“けっして離れまい”という
堅き意思か
“離れたくとも離れがたい”
宿命であるか
いずれであるかもわからない。
◯◯記念日というような
御上から与えられる祝祭ではない
常民の原信仰の姿ともいえる
擬死再生の儀礼伝承
(ex.下久那の諏訪社祭礼)
などが象徴的な習俗であるが
人が生まれてから死ぬまで
個人々の範囲で
くぐり抜けていく行事は
この山間・盆地の中で80以上ある
平均年齢に均してみても
年に一回を超える祭礼・儀礼を
各々通過することになる
子が育ち山野をかけめぐる頃になると
お雛粥、花祭り、子ザサラ、虫送り、天王焼、etc.
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| 大血川 地蔵堂の人形 |
様々なカリキュラムを経て
自力で煮炊を覚えながら
自然を知り
遊びのなかで
耕地で生きる心構えを身につけていく
そうしてやがて若衆の仲に入っていく
かつて、その様な習俗が
たしかに存在していた。
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“とんとある話、
あったか無かったか知らねども
昔のことなれば、無かったこともあったにして
聴かねばならぬ。 よろしいか ”
‥‥祖母が
土地にまつわる傳えを
言い聞かせるとき
時代の変遷を
今の生活風景と見比べ
また繰り言の説法かと
孫は聞き流しているも
そこには、言い顕しようのない
凍りつくような深淵が
背後にそびえる‥
畏敬の念を持って
それに耳を傾けようか
心の内であしらい、
笑おうものか
どちらが相応しきか
やがて、いよいよ、
しだいにわからなくなる。
年長者の語る過去に
現在を見、
自ずから
未来を見ることになる。
Riverrun,
川走の時間と記憶
A river runs through it.


